任意後見制度とは
後見制度には、法定後見と任意後見があります。
法定後見は、判断能力が既に失われたか又は不十分な状態であるため、自分で後見人等を選ぶことが困難な場合に、裁判所が後見人を選ぶ制度です。
任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、 あらかじめ、自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護、財産管理に関する事務について、 代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。
本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する 「任意後見監督人」の監督のもと、本人を代理して、契約などをすることによって、本人の意思に従った適切な 保護・支援をすることが可能になります。
任意後見契約とは
任意後見契約とは、委任契約の一種で、委任者(本人)が、受任者に対し、将来認知症などで自分の判断能力が低下した場合に、自分の後見人になってもらうことを委任する契約です。
認知症に罹患し進行が進むと、自分の財産の管理ができなくなり、自分ではお金が使えない事態になります。
また、病院等で医師の治療等を受けようとしても、医師や病院と医療・入院契約を締結することができず、治療等を受けられなくなるおそれもあります。
自分の判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ、自分がそういう状態になったときに、自分に代わって、財産管理や必要な契約締結等をしてもらうことを、自分の信頼できる人に頼んでおけば、すべて任意後見人にしてもらえ、安心して老後を迎えることができます。
自分が元気なうちに、自分が信頼できる人との間で、もし自分が老いて判断能力が衰えてきた場合等には、自分に代わって、財産管理や必要な契約締結等をしてくださいとお願いしてこれを引き受けてもらう契約が、任意後見契約です。
任意後見契約を締結するには、任意後見契約に関する法律により、公正証書でしなければならないことになっています。
任意後見契約公正証書作成サービスの対応地域
埼玉県
任意後見契約公正証書作成サービスのお問い合わせ
任意後見契約公正証書作成サービスのご相談のご予約は、048-677-2601(平日土祝日9:00~20:00)
面談ご相談料(初回1時間まで) 4,400円、面談ご相談料(初回以外1時間まで) 5,500円、出張ご相談料(初回1時間まで。埼玉県内。)6,600円、出張ご相談料(初回以外1時間まで。埼玉県内。) 8,800円。
埼玉県上尾市大字平塚3115ー6 行政書士事務所REAL
任意後見人の仕事内容
任意後見人の仕事は、一つは、本人の「財産の管理」です。
自宅等の不動産や預貯金等の管理、年金の管理、税金や公共料金の支払い等々です。
一つが、「介護や生活面の手配」です。
要介護認定の申請等に関する諸手続、介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、医療契約の締結、入院の手続、入院費用の支払い、生活費を届けたり送金したりする行為、老人ホームへ入居する場合の体験入居の手配や入居契約を締結する行為などです。
任意後見人の仕事は、自分でおむつを替えたり、掃除をしたりという事実行為をすることではなく、あくまで介護や生活面の手配をしてあげることになります。
任意後見契約内容
任意後見契約は、当事者双方の合意により、法律の趣旨に反しない限り、自由にその内容を決めることができます。
任意後見人になれる人
成人であれば、誰でも、任意後見人にすることができます。
身内の方や、友人でも大丈夫です。
ただし、法律でふさわしくないと定めている事由のある者(破産者、本人と訴訟をした者、不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由のある者など)は任意後見人になることはできません。
任意後見人の仕事開始
任意後見契約は、本人の判断能力が衰えた場合に備えてあらかじめ結ばれるものになりますので、任意後見人の仕事は、本人が判断能力が衰えた状態になってから、始まることになります。
任意後見人になることを引き受けた人(任意後見受任者)や親族等が、家庭裁判所に対し、本人の判断能力が衰えて任意後見事務を開始する必要が生じたので、「任意後見監督人」を選任してほしい旨の申立てをします。
そして、家庭裁判所が、任意後見人を監督すべき「任意後見監督人」を選任しますと、そのときから、任意後見受任者は、「任意後見人」として、契約に定められた仕事を開始することになります。
任意後見監督人の職務
任意後見監督人は、任意後見人の仕事について、それが適正になされているか否かをチェックします。
任意後見監督人からの報告を通じて、家庭裁判所も、任意後見人の仕事を間接的にチェックする仕組みになっています。
任意後見人に、著しい不行跡、その他任務に適しない事由が認められたときは、家庭裁判所は、本人、親族、任意後見監督人の請求により、任意後見人を解任することができることになっています。
寝たきりなどの身体的能力の衰えに備えた委任契約
任意後見契約は、判断能力が低下した場合に備えた契約なので、寝たきりなどの身体的能力の衰えに備えた契約は、任意後見契約によることはできず、通常の「委任契約」を締結することにより、対処することになります。
通常の委任契約は、任意後見契約と組み合わせて締結する場合が多くなります。
後見登記
任意後見契約の公正証書が作成されたときは、公証人からの嘱託によって、後見登記がなされます。
この登記をすれば、任意後見人は、法務局から、任意後見人の氏名や代理権の範囲を記載した「登記事項証明書」の交付を受けて、自己の代理権を証明することができますし、取引の相手方も、任意後見人から、その「登記事項証明書」を見せてもらうことにより、安心して本人との取引を行うことができます。
また、登記されている本人などは、登記後の住所変更などにより、登記内容に変更が生じたときは、 「変更の登記」を、任意後見が終了したときは、「終了の登記」を申請する必要があります。
「変更の登記」や「終了の登記」は、本人の親族など利害関係人も行うことができます。
任意後見人等の報酬
任意後見人に報酬を支払うか否かは、本人と任意後見人になることを引き受けた者との話し合いで決めることになります。
任意後見監督人には、家庭裁判所の判断により、報酬が支払われます。
任意後見監督人の報酬額は、家庭裁判所が事案に応じて決定しますが、本人の財産の額、当該監督事務の内容、任意後見人の報酬額その他の諸事情を総合して、無理のない額が決定されているようです。
決定された報酬は、任意後見人が管理する本人の財産から支出されます。
東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」によると、成年後見人が通常の後見事務を行った場合の報酬は、月額2万円がめやすとされており(管理財産額が1000万円~5000万円までは月額3万円~4万円、5000万円を超えると月額5万円~6万円)、成年後見監督人の報酬のめやすは、管理財産額が5000万円以下では月額1万円~2万円、5000万円を超えると月額2万5000円~3万円とされています。
任意後見契約の解除
任意後見契約を途中で解除するには、任意後見監督人が選任される前であれば、公証人の認証を受けた書面によって、いつでも解除することができます。
合意解除の場合は、合意解除書面に認証を受ければ解除の効力が発生します。
当時者の一方からの解除の場合は、解除の意思表示をした書面に公証人の認証を受けます。公証人の認証を受けた事実と任意後見契約を解除する意思を記載した内容証明郵便を、相手方に送付して、その旨を通告することが必要です。
任意後見監督人が選任された後は、正当な理由があるときに限り、かつ、家庭裁判所の許可を受けて、解除することができます。任意後見人について任務に適しない事由が認められるときは、家庭裁判所は、本人、親族、任意後見監督人の請求により、任意後見人を解任することができます。
任意後見契約のよくある質問
[su_service title="判断能力が衰えてから、任意後見契約を締結することができますか?" icon="icon: question-circle" icon_color="#5aef5d"]
補助や保佐の対象となり得る者であっても、判断能力の衰えの程度が軽く、まだ契約締結の能力があると判断されれば、任意後見契約を締結することができます。本人に、契約締結の能力があるかどうかは、医師の診断書、関係者の供述等を参考にして、公証人が慎重に判断して決めます。
既に認知症の症状が出てきた場合には、法定後見の制度を利用した方が無難でしょう(家庭裁判所に、法定後見の申立てをして、鑑定及び調査の結果認められた判断能力の不十分さの程度に応じて、後見、保佐、補助等の開始の審判を受け、それに対応して家庭裁判所で選任された後見人、保佐人、補助人がその事務を処理することになります。)。
法定後見が開始している者であっても、法定後見人の同意又は代理によって、任意後見契約を締結することができます。[/su_service]
[su_service title="病気などで公証役場に出向くことができないときでも、任意後見契約を締結することができますか?" icon="icon: question-circle" icon_color="#5aef5d"]
公証人が、自宅や病院に出張して公正証書を作成することができます。この場合には、1万1000円の手数料が1万6500円になるほか、公証人の日当と現場までの交通費が加算されます。
[/su_service]
任意後見制度は、どのような人が利用しますか?
具体的な事例
[su_service title="配偶者・子供がいない独居高齢者" icon="icon: check" icon_color="#5bef5a"]
ヘルパーの助けを得て、自宅にて健康的な生活が送っていたが、自宅で転倒骨折し入院。
大手企業を退職、年金生活、ほとんどの退職金が残っている。
将来的に他者の助けなく生活をすることに不安を感じ、第三者の支援を希望。
[/su_service]
[su_service title="子供がいない夫婦" icon="icon: check" icon_color="#5bef5a"]
賃貸家屋を所有、賃料収入あり
夫婦ともに健康だが、将来に不安、任意後見に関心がある。
[/su_service]
[su_service title="知的障害の子を持つ未亡人" icon="icon: check" icon_color="#5bef5a"]
障害を持つ中学生の長男と高校生の長女との3人で賃貸マンション暮らし。
資産は、夫の死亡退職金と多額の死亡保険金あり。
子らの将来に不安を感じ、第三者の支援を希望。
[/su_service]
[su_service title="子供はいるが、配偶者がいない高齢者" icon="icon: check" icon_color="#5bef5a"]
年金収入があり、預貯金もある。現状生活に困っていない。将来も金銭的不自由はない。
持病(糖尿病、心不全)があるため、将来が不安で、認知症が心配。任意後見契約を希望。
[/su_service]
[su_service title="婿養子として入った会社社長。(事業承継を考えている。)" icon="icon: check" icon_color="#5bef5a"]
中小企業(製造業)のオーナー。息子に事業を継がせたいと考えている。
2年前に脳梗塞を起こし、救急車で運ばれた経緯あり。飲酒が多い。
資産は、養親からの相続財産含め多額にあり、銀行からの借入金も相当額あり。
妻が、将来に対し、とても不安に思っている。妻の身体はいたって健康である。
将来のため任意後見契約を検討。
[/su_service]
後見人・後見監督人の受任のご相談
当事務所では、後見人・後見監督人の受任により、財産管理、身上監護に関する事務、後見人の監督業務等のサポートを行っています。
任意後見契約公正証書作成のご相談時にご準備していただきたい書類
以下の書類をご準備いただけますと、ご相談がスムーズです。※なくても大丈夫です。
- ご本人様の印鑑証明書、戸籍謄本、住民票
- 任意後見受任者様の印鑑証明書、住民票
- ご本人様、任意後見受任者様の実印
任意後見契約関連情報
後見支援預金制度について
1,200万円以上の流動資産があるときは、親族は後見人になれない!?後見制度支援信託と 専門職後見人