任意後見制度とは
任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、 あらかじめ、自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護、財産管理に関する事務について、 代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。
本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する 「任意後見監督人」の監督のもと、本人を代理して、契約などをすることによって、本人の意思に従った適切な 保護・支援をすることが可能になります。
任意後見契約関連情報
後見支援預金制度について
1,200万円以上の流動資産があるときは、親族は後見人になれない!?後見制度支援信託と 専門職後見人
任意後見制度は、どのような人が利用しますか?
具体的な事例
ヘルパーの助けを得て、自宅に手健康的な生活が送っていたが、自宅で転倒骨折し入院。
大手企業を退職、年金生活、ほとんどの退職金が残っている。
将来的に他者の助けなく生活をすることに不安を感じ、第三者の支援を希望。
賃貸家屋を所有、賃料収入あり
夫婦ともに健康だが、将来に不安、任意後見に関心がある。
障害を持つ中学生の長男と高校生の長女との3人で賃貸マンション暮らし。
資産は、夫の死亡退職金と多額の死亡保険金あり。
子らの将来に不安を感じ、第三者の支援を希望。
年金収入があり、預貯金もある。現状生活に困っていない。将来も金銭的不自由はない。
持病(糖尿病、心不全)があるため、将来が不安で、認知症が心配。任意後見契約を希望。
中小企業(製造業)のオーナー。息子に事業を継がせたいと考えている。
2年前に脳梗塞を起こし、救急車で運ばれた経緯あり。飲酒が多い。
資産は、養親からの相続財産含め多額にあり、銀行からの借入金も相当額あり。
妻が、将来に対し、とても不安に思っている。妻の身体はいたって健康である。将来のため任意後見契約を検討。
任意後見監督人選任の申立て時の費用
- 任意後見監督人選任の申立て費用(家庭裁判所)
- 契約の内容によって、任意後見人に対する報酬の支払い、任意後見監督人の報酬の支払い
後見登記
任意後見契約の公正証書が作成されたときは、公証人からの嘱託によって、後見登記がなされます。
また、登記されている本人などは、登記後の住所変更などにより、登記内容に変更が生じたときは、 「変更の登記」を、任意後見が終了したときは、「終了の登記」を申請する必要があります。
「変更の登記」や「終了の登記」は、本人の親族など利害関係人も行うことができます。
後見人・後見監督人の受任
当事務所では、後見人・後見監督人の受任により、財産管理、身上監護に関する事務、後見人の監督業務等を行っています。
任意後見人の役割
本人の財産管理・・具体的には、自宅等の不動産や預貯金等の管理、税金、公共料金の支払等です。
介護や生活面の支援(手続等)・・具体的には、要介護認定申請手続、介護サービス提供機関との契約の締結、介護サービス費用の支払い、入院の手続、入院費用の支払等です。
※任意後見人自ら、掃除をしたり介護をするという事実行為をするのではなく、介護・福祉サービスが受けられるよう手配を行うことが職務の範囲です。
任意後見契約の解除
任意後見契約を途中で解除するには、公証人の認証を受けた書面によって、解除することができます。
合意解除の場合は、合意解除書面に認証を受ければ解除の効力が発生します。
当時者の一方からの解除の場合は、解除の意思表示をした書面に公証人の認証を受けます。
公証人の認証を受けた事実と任意後見契約を解除する意思を記載した内容証明郵便を、相手方に送付して、その旨を通告することが必要です。