日本の難民認定制度
難民の地位に関する条約(「難民条約」)及び難民の地位に関する議定書(「議定書」)が1982年に我が国について発効したことに伴い、難民条約及び議定書の諸規定を国内で実施するため難民認定制度が整備されました。
この制度では、難民である外国人は、難民認定申請を行い法務大臣から難民であるとの認定を受けることができ、また、難民条約に規定する難民としての保護を受けることができます。
難民とは
「難民」とは、難民条約第1条又は議定書第1条の規定により定義される難民を意味し、それは、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者とされています。
※借金、遺産相続などの財産上のトラブル、帰国後の生活苦、地域住民等とのトラブル、暴力事件などの理由は、難民条約上の迫害理由に明らかに該当しないとされています。
迫害とは
日本政府は生命や身体の自由に対する侵害を意味すると考えているとされていますし、UNHCRのハンドブックでは生命身体の自由に対する侵害に限らず、ほかの人権の侵害も迫害になりうるとしています。
一般に差別は迫害とは異なるとされていますが、甚大な形態をとる場合、継続して一貫している場合には迫害に相当する場合もあり得ると考えられます。
難民認定申請自体の全体実績数
2015年 申請件数 7586 異議/審査請求 3120 認定 21件 不認定 5174件 人道配慮79件
2016年 申請件数 10901件 異議/審査請求 5197件 認定 26件 不認定 9604件 人道配慮97件
難民認定された人の主な出身国
2016年:アフガニスタン7人、エチオピア4人、エリトリア3人、バングラデシュ2人、
2015年:アフガニスタン6人、シリア3人、エチオピア3人、スリランカ3人、エリトリア2人、ネパール2人
難民認定申請サポートの対応地域
埼玉県その他関東
滋賀県京都府その他関西(提携:弁護士事務所)
難民認定申請サポートのお問い合わせ
お電話でのお問い合わせは、048-677-2601(平日土祝日9:00~20:00)
難民旅行証明書
難民の認定を受けた外国人が外国に旅行しようとするときは、難民旅行証明書の交付を受けることができ、難民旅行証明書を所持する外国人は、その証明書に記載されている有効期間内であれば、何度でも日本から出国し、日本に入国することができます。
難民条約に定める各種の権利
難民の認定を受けた外国人は、原則として締約国の国民あるいは一般外国人と同じように待遇され、我が国においては国民年金、児童扶養手当、福祉手当などの受給資格が得られることとなっており、日本国民と同じ待遇を受けることができます。
難民認定申請の標準処理期間
6か月
難民認定申請の申請先
申請者の住所又は現在地を管轄する地方出入国在留管理局,支局及び出張所
難民認定申請の申請者
申請者本人が自ら出頭して行う必要があります。
ただし、申請者が16歳未満である場合や病気その他の理由により自ら出頭できない場合は、父母、配偶者、子又は親族がその者に代わって申請を行うことができます。
難民であることの立証
難民の認定は、申請者から提出された資料に基づいて行われます。
申請者は、難民であることの証拠又は関係者の証言により自ら立証することが求められます。
申請者の提出した資料のみでは十分な立証が得られない場合には、難民調査官が公務所等に照会するなどして、申請者の申し立てる事実の有無について調査し、難民の認定が適正に行われるように努めるとされています。
仮滞在の許可
不法滞在者等の在留資格未取得外国人から難民認定申請があったときは、その者の法的地位の安定を図るため、当該外国人が本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあっては、その事実を知った日)から6か月以内に難民認定申請を行ったものであるとき又は難民条約上の迫害を受けるおそれのあった領域から直接本邦に入ったものであるときなどの一定の要件を満たす場合には、仮に本邦に滞在することを許可し、その間は退去強制手続が停止されます。
仮滞在許可の判断は、難民認定申請者から提出のあった難民認定申請書等の書類により行いますので、別途、仮滞在許可のための申請は必要ありません。
仮滞在期間は、原則として6月です。仮滞在期間の更新申請は、許可期限の10日前から受け付けされています。
在留資格に係る許可
難民として認定された外国人が在留資格未取得外国人であるときは、当該外国人が本邦に上陸した日から6か月以内に難民認定申請を行ったものであるとき又は難民条約上の迫害を受けるおそれのある領域から直接本邦に入ったものであるときなど、一定の要件を満たした場合には、「定住者」の在留資格が一律に付与されます。
審査請求
難民の認定の申請をしたものの認定されなかった外国人や難民の認定を取り消された外国人は、法務大臣に対し、審査請求をすることができます。
審査請求期間は、難民の認定をしない旨の通知又は難民の認定を取り消した旨の通知を受けた日から7日以内となっています。
人道配慮による在留許可
難民認定申請が不認定処分となっても、人道配慮により在留が許可される場合があります。
例えば、1年の特定活動、定住者という在留資格があります。
在留資格を持ちながら難民申請を行っていた場合は、在留資格が変更、または延長されます。
在留資格がない場合、在留特別許可が認められます。
出入国管理及び難民認定法によれば、日本における滞在が認められる特別の理由があれば、在留が認められます。
一方、「特別の理由」を判断する明確な基準は明らかにされていません。
難民認定申請に係るよくある質問
・オーバーステイ(超過滞在)や非正規入国でも難民認定申請は可能ですか?
・可能です。現在、日本に滞在している人であれば、誰でも難民認定申請が可能です。在留資格の有効期限が切れている(在留期間が終了している、更新申請が不許可になっている)場合や偽造旅券による非正規入国だった場合でも、申請可能です。申請したその場で逮捕・収容されることもありません。
・申請に必要な書類が全てそろっていません。全てそろうまで申請は控えるべきでしょうか?
・難民認定申請後に追加で証拠資料を提出することもできますので、なるべく早く申請書を提出した方が望ましいと考えます。
・申請中に政府による援助はありますか?
・難民認定申請者で、かつ生活困窮者向けに政府による支援制度があります。食費、家賃および医療費の補助としての財政援助と、部屋数は限られますがシェルター支援を難民事業本部(RHQ:0120-925-357)から受けることができます。支援の申し込みをしてから、援助決定通知まで平均40日ほどかかります。
・子どもの教育はどうしたらよいですか??
・在留資格にかかわらず、義務教育である、第1学年から第9学年までの初等教育を受けることができます。小学校(第1学年から第6学年)及び中学校(第7学年から第9学年)への入学の方法は居住地の区役所もしくは市役所に相談してください。高等教育も在留資格に関係なく受験することはできます。
難民認定申請サポートの手続きの流れ
お電話又はメールにてお問合せ→面談→ご依頼→手続き費用のお振込み→書類作成→本人難民認定申請
難民認定申請サポートのご相談時にご準備していただきたい書類
以下の書類などをご準備していただけますと、ご相談がスムーズです。なくても大丈夫です。
- 写真4cm×3cm 2枚
- パスポート
- 在留カード
- 難民であることを証明する資料(新聞記事や雑誌記事等、所属団体の会員である証明